法律家が斬る不動産業者の言い分!

現在では任意売却も広く認知され、たくさんの不動産会社が任意売却を推進しています。

しかし、なかには正しい法律の知識がないために相談者様に不利益な提案している業者もいます。

任意売却業者が主張している任意売却のメリットが本当に依頼者のためになっているのかを、不動産会社も運営している法律家(司法書士)の視点から説明していきます。

A.「住宅ローンの支払いが困難になってきたとのことですが、早めに手を打って物件を売却しましょう。早く売却をするために、すぐに当社と専任媒介契約を結びましょう。」と迫ってくる。

専任媒介契約とは

不動産会社と締結する媒介契約のうちのひとつで、1社とのみ契約でき、自ら買主を見つけて売却も可能です。

この表はスクロールできます。

契約可能な会社数 自分で買主を見つけて売買取引 契約期間
選任媒介契約 1社 3か月(1か月、2か月も可能)
専属選任媒介契約 1社 × 3か月
一般媒介契約 複数社と契約可能 制限なし(3か月がほとんど)

その前に、住宅ローンの支払いが困難になった要因として住宅ローン以外の借金があると思います。そのサラ金から借りた借金の債務整理もせずに、自宅を売却する手続きを取るということは、お客様の意向に反しています。債務整理をした結果、大幅に借金が減額されるケースや、中には払い過ぎた利息分が返還されて、住宅ローンの支払いが通常通りできるようになり、自宅を売却する必要がなくなったというお客様も大勢いらっしゃいます。

法律家である私たちはなるべく自宅を手放さなくても済むようにアドバイスいたします。

ポイント まず最初に取り組むべきは住宅ローン周りの借金を減らすこと、任意整理や過払い金返還、個人再生という法的手続きを最初に検討しましょう。

B.「任意売却後、債権者(金融機関)との交渉次第では自宅を売却しても残ってしまった残債務を月々2,3万円ずつ支払っていけば大丈夫です!」

この場合、貸出金融機関との和解契約書を結ぶ必要があります。

任意売却しても住宅ローンの残債務が残ってしまうオーバーローンの場合に、任意売却業者は「借金がだいぶ減って、あとは毎月数万円を払うだけです。」と言いいます。しかし、、貸出金融機関との「毎月数万円を支払い続けて住宅ローンを完済したら、時効に関係なく、遅延損害金は請求しない」という旨の和解契約書を締結はしていないので、5年後、10年後の時効を迎えるタイミングで遅延損害金の請求をされる可能性があります。

こうなってしまっては、これまで支払い続けた住宅ローンの残債務が全くの無駄になってしまいますし、実際には貯金することもできたお金ですので、人生プランが大きく崩れることになります。そんな時、法律のプロである我々であれば、貸出金融機関と和解契約書を確実に交わし、リスクを回避します。

ポイント 貸出金融機関との和解契約書を交わしましょう。
※裁判外の和解交渉手続きの金額が140万円を超える案件は、提携している弁護士をご紹介しています。

C.任意売却に精通しているため、「早期解決」が可能です。

任意売却業者さんは、「我々は不動産を買いたいお客様を大勢抱えているため、すぐに任意売却が成立し、住宅ローン問題が早期に解決できます。」と言いますが、早期に解決して次の物件に引っ越すための“敷金・礼金を貯める時間がない”、別の物件を借りるとその分だけ“新たな賃料が発生する”という問題が発生するのです。司法書士が任意売却に関与していると、債権者に交渉して手続き期間中は自宅に引き続き居住することができますので、その期間に住宅ローンの支払いをしないで、お金を貯めることに専念することができるのです。

住宅をすぐに売れば、すぐに報酬が入ってくる任意売却業者さんらしい発想です。

D.「任意売却は競売よりも高く、市場相場に近い価格で処理できます!」

競売よりは任意売却の方が高く売ることができるのは概ねその通りです。

しかし、任意売却業者は現在の債務状況には気を留めず、“競売ではなく任意売却で高く、早く不動産を売りましょう”という提案一辺倒です。

ですから、下記のように、住宅ローンの残債務と物件の時価の関係によって適切な対応をしているかどうかが心配です。

まずは住宅ローンの残債務と物件の時価を比較して、住宅ローンを払い続けるか、停止するかを最初に見極めなければなりません。

1.オーバーローンの場合

住宅ローンの残債務>物件の時価

住宅ローンの残債務が物件価格よりも大幅に多くなっている場合は、住宅ローンの支払いをすぐにやめるべきか否かを専門家と共に検討しましょう。というのも結論として、この状態では自己破産をして借金をなしにした方がご本人様にとって良い結果となることが多いからです。
しかし、何も知らない任意売却業者は自己破産を嫌がるお客様の意見を鵜呑みにして、自己破産を勧めることなく、住宅ローンを継続的に支払わせることが多いのです。専門家に相談した結果、自己破産をすることになったときは売却依頼から物件が売れるまでの期間が1年間掛かったとすると、その120万円(毎月10万円×12ヶ月)が無駄になってしまいます。

ポイント 任意売却業者が自己破産のメリットと意外に少ないデメリットを正しく理解していないと後で損をしてしまうので注意しましょう。

2.物件の時価が住宅ローン額を上回っている場合

住宅ローンの残債務<物件の時価

物件価格の方が住宅ローンの残債務を上回る場合は、住宅ローンの支払いを継続すべきです。というのも、住宅ローンの場合は支払いを留めてしまうと“期限の利益を喪失”(分割で支払うことは認められず、一括返済を求められる)し、登記簿にも記されている通り、遅延損害金(金利14%)の支払いも必要になり、物件価格と住宅ローンの差し引いた利益分がどんどん圧縮されてしまいます。

ですから、この場合は、住宅ローンの支払いを継続するというのが正しい判断といえます。

ポイント 自己破産をする必要がなくても、任意売却業者はすぐに売却することで利益を得るためにわざと期限の利益を喪失させてしまいがちですが、遅延損害金を支払うことで利益を大きく減らすことになるので住宅ローンの支払いは続けましょう。

E.「引越し代金などは売却代金の中から、捻出させます!」

この“引越し代金”に法的根拠はありませんが、債権者によっては早く退去して欲しいために、引越し代を出すことがあるのも事実です。

しかし、本当に支払いが大変なのは敷金・礼金ですので、なるべく今の自宅に引き続き居住して、住宅ローンを支払わずに敷金・礼金を貯めてください。

住宅ローン問題を解決するためにすぐに売却しましょうという任意売却業者の提案は、早く解決することにメリットはなく、正しい提案とは言えないのです。

任意売却業者は物件を売却しないと報酬が得られないのですが、依頼者のことを考えていない提案だと言わざるを得ません。

F.「宅建業者は弁護士・司法書士とは違い、成功報酬となりますので相談料は頂きません。」

当事務所においては、何回でも無料で相談を受けさせて頂いております。

G.「弁護士・司法書士は、不動産の知識がないので、自己破産しかすすめない」

確かに一般的な弁護士・司法書士の事務所であれば、そのようなことが言えるかもしれませんが、当事務所はグループ会社で不動産会社、モーゲージプランニング(住宅ローン)業務も手掛けておりますので不動産知識や住宅ローンにも精通しておりますので、むやみに自己破産を勧めることは絶対にありません。むしろ当事務所ではいかに自宅を手放さないで済むかを優先に話を進めていきます。

H.「弁護士・司法書士はとにかく上から目線で対応する!」

これも確かに業界全体としては、そのような傾向にあるかもしれませんが、当事務所では法律業をサービス業と捉えており、お客様をおもてなしする気持ちを持って接しております。

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